研究
本学教員が執筆した論文「Exploring the Effect of Morpheme Focus on Opaque and Transparent Two-Character Compounds in Second-Language Learning」が出版されました:萩原章子准教授
本学大学院日本語教育実践領域の萩原章子准教授が執筆した論文が『International Journal of Applied Linguistics』に掲載されました。
論文要旨
漢字熟語の構成形態素である単漢字の理解は、透明性の高い熟語の意味抽出に役立つ。しかし、不透明な漢字熟語の場合、構成形態素である単漢字との間に意味的なつながりがないことを考えると、単漢字への意識が熟語の意味理解につながるかどうかは議論の余地がある。本研究では、第二言語学習者が不透明な漢字熟語を学ぶ際、構成形態素の意味に注意を向けることの有益性を探るため、不透明?透明漢字熟語を用い、熟語とともに構成形態素の単漢字を学ぶ条件と学ばない条件での学習効果を比較した。
比較分析の結果、学習者は構成形態素である単漢字が提示される条件で、熟語の透明性に関わらず意味を参照し熟語との関連性の構築に役立てていた。また、透明性によらず熟語の字形にも着目していた。一方、透明性の高い熟語の方が容易に 単漢字の既存知識を未習熟語の学習に活かすことができた。この結果から、第二言語学習者は熟語の構成形態素に注目することで未習熟語が学びやすくなること、特に単漢字の既存知識が未習熟語の学習に貢献することが示唆された。